MTBTEAMであるhubgejapanチーム員の書き込み場


by hubgejapan
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

素人と玄人の差。

今回フレーム作りを再度経験して色々思いました。
(しかしマニア過ぎな話なのでイタイかも知れん)



最初は卒業制作で自転車を作った経緯がありその時は自身で図面を引いてそれを基に修正をしてもらい制作して頂きました。なので今回は2回目になります。

ガサゴソ探せば多分写真出てきます。モノが無いのは盗まれちゃったから・・・あはは。
ぶっちゃけ図面を観たら「イタイイタイ」って事であろうと容易に想像が出来ます。

【狙い】
今回フレーム作成の図面は図面作成における基本数字やモノとしての狙いを言っただけで平さんに全部描いて頂きました。正直現職で図面作成は嫌な位やっているので無論描けますが、あえて描いて頂いたのには訳があります。
それは「何処のツボを押さえて描くか」の視点があるからです。
ちなみに小生は時計屋さんなので基本はMOVの中心から寸法を追うのですよ。

【便利ですけど】
今はPCでエイヤーと描けますし、寸法もぽんっっと出ちゃいます。
しかしながら角度寸法で「71.2536」とか長さ寸法で「665.2353」とかそんな値を出されても現場ではやり様が無いんです。実際フレームよりも精度が出るであろうプラ製品でも大概はそんな寸法を外観で守って作成なんぞしとらんです。
最近は寸法描かないけど・・・DATA参照なだけに・・・とはいえ、モノ作りを知らんでやっちまうと予期もしない事があるんですよ。

【ただ数字を追うだけじゃあない】
基本は何処を基準(重要とする場所)とした何処を守った値を入れるかで決まります。それが指示と思います。やみくもに数字をきっちり入れてもイミナシなのです。
図面作成はJIS規格で決まってる云々ありますが、結局はそんな決まり毎よりも第三者が分かる図面を描けばいい訳です。
しかも作り手や工作機械、作り方を知ってる人が描くともっと分かり易くなる訳です。
要するに作成精度を求めるのであれば作る元でもある図面をきっちりさせないと出来ないって事なのです。よく分かり易い図面は美しいって言います・・・

【できない事ってあるんです】
先程触れました角度寸法で「71.2536」とか長さ寸法で「660.2353」とか出されるとというのは作る際、其処までの工作機械を持ってないと作れないし、そもそも溶接をした際、焼き付け塗装をした際に収縮する、ズレるのでそんな寸法を実現する事は不可能に近いのです。

【考える時間が増えると労働時間増でズレも増】
作り手は其処で悩むのです「どうしよう」って。で、辻褄を合わせるために此処では小数点第1位迄守ろうとか此処はキリの良い寸法でと単体寸法で追ってしまうため結局出来た際の基本寸法が崩壊する可能性を秘めているのです。しかも作る順番を知らない人間が描いてるから益々何処を基準値にしたらいいのか?という疑問満載になるので作る人間の困る量、考える量が増大するのです。結局は同じ図面で作成しても作る時期が違うとモノは大概違う可能性があるのです。これがバラツキの要因でもあります。

【精度や出来具合は図面で決まる】
あくまでも作り手には「作業行為」に集中して頂いて変に考える時間を減らしてあげる方が効率良く尚且つ設計者の思い描いていたモノが出来上がる訳なのです。単純に富士アロイで作ったから精度が良いのは確かですが富士アロイでの精度の良さにもこうしたネタで精度のバラツキが出るって事なのです。多分富士アロイだからそんなズレが少ないって事だけです(何せ何処の業者でもできなかった工作を平気でやっちゃう会社なもんで・・・)。
これは例にも漏れず他社にも言えますので想像して頂ければ分かると思いますが素人が手を出すとロクなモノが出来ん理由って意味を・・・

【なので】
ちなみに富士アロイはフレーム屋ではなくアルミ溶接屋なので「これじゃあ自転車としては困るんですけど」な工作も当たり前ですがしちゃいます。図面では表せない自転車的内容を理解しそれを指示できる、しかも作る策、行程を知ってるのは現状富士アロイでは平さんだけってのもあります。幾ら図面が描けても作る現場を知らないとダメって事また、完璧に寸法精度を厳守して溶接が出来ても自転車を知らないとダメってのもあります。だから平さんに頼んだのです。モノが出来てその見解は「正解」だったと確信しました。

【ノウハウ】
しかしながらただ「作る」だけでこれだけあります(というかまださわりだけでしょう)。素材特性、使う定尺パイプのサイズ、加工時における状況、組み合わせにおける変化・・・数え上げたら他にも随分あります。自転車って簡単な構造だけどシンプルなだけに結果が顕著なモノなのかもしれません。

結局ただ基本寸法を追っただけでは思ったカタチにはなってもモノにはなってないって事です。
by hubgejapan | 2006-11-21 11:15 | 横田の落書き